2007年8月10日金曜日

怪物庭園 その四

ドラゴンの隣に象がいる

The Elephant(L'ELEFANTE)
背中に四角い石材の『城』を
のせた象。
その長い鼻を一人の兵士の身体に
ぐるぐる巻きつけている。もう一人の兵士は、
象の頭の上にのっている。
古代の戦争のためのように、象の身体は美々しく
飾り立てられており、その大きな耳には、
楯の紋地のような模様がついている。
」*1

実物大の東洋風の象が、
その鼻でローマの兵士の身体をぐるぐる巻き、
窒息させようとしている。
」*2

肩で城を支える厚皮動物の頭で
奴隷が笑っている。
 」*3
ムヒカによると、象の頭に載っているのは、
アフリカの黒人で象使いのアブール。
賢い象の名前はハンノーネ。
アブールは公爵の忠実な従者であったが、
同じく従者であるベッポーを、狩りのどさくさに
まぎれて、公爵の意向を汲んで殺害し、
行方をくらました。ベッポーは、象の鼻によって
窒息死させられているローマ兵士に
かたどられている。

象の奥に鉢植え巨女がいる

Ceres(CERERE)
竜舌蘭の植木鉢を厳かに頭の上にのせた、
ボードレールの『巨大な女』もかくや
とばかりの彫像である。
巨大なニンフは一個の岩にもたれているが、
この岩にも彫刻が施されていて、そこには、まるで
巨大なニンフが食いちらかした彼女の恋人や
女友達の残骸でもあるような、人間の形らしき
ものの姿が認められる。
」*1

頭の上に竜舌蘭の茂った水盤を
のせた、巨大な女が岩にもたれ、
脚を投げ出してすわっている、
その異様に太い脚は先端が欠けている。
この巨女のうしろへまわると、巨女のもたれている
岩のかげでは、下半身が魚で、肩に蝶のような翼を
はやした二匹の人魚が、1人の少年をさかさまにして、
両手で左右から抱え込んでいるのだ。
これはどう眺めても、倒錯的なエロティックな行為を
表現しているとしか思われず、
私たちを唖然とさせるに十分な構図である。
」*2

ネンツィアは豊満な裸体のニンフであった、
そのあまりの大きさに職人たちは
彼女の乳房によじ登り、まるで山に登るかの
ようにして、その頭の上で輝く鉢まで
上っていったがその鉢からは一本の木が
伸びている、そうすることで私はネンツィアが
その広大な影、私の童貞を奪ったメディチ家の
宮殿と同じくらい広く思える影で
私を包み込んでいたことを示したかったのである。
そして、父の憎しみの証拠である
恐ろしい骸骨は三角の台座の片蓋柱に
その頭蓋骨、脛骨で表されたが、私が
的となっていた兄弟の迫害は、女巨人の底に
隠した二人の人物、つまり一人の少年の逞しい姿を
うつぶせに抑えつけている翼のある人物たちの中に
仄めかされている。
 」*3

鉢植え巨大女の背面に彫られた奇怪な彫刻とは
         ↓





















(つづく)

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