2007年8月30日木曜日

水道路 標柱その二(3)

さて、海軍水道路(すいどうみち)の続きです。
コレは水道部タイプ。うっすらと苔をまとい
石仏の風情さえあります。
kokesuidoubu

コレは波線タイプ。海の字が地面に潜ってます。
てっぺんの赤いペンキが毒々しいです。
笑ってます

謎な標柱。『神企水』????
もしかしたら水道路とは無関係かもしれません。
謎

そして。
今回探索した行程上、最南端にあったもの
海軍用地
御影石仕立ての立派なものです。
JR線を越える為の塀に阻まれた、行き止まりの地点に
建ってました。
それまで、建物のかげになっていたのか、
発見されたのはつい10年ほど前のようです。
コチラに詳細)


最後に。
『風に吹かれて』HPにて
ツーリングを楽しんでらっしゃる方の、水道路レポートがあって
その中に、地面から抜いた標柱の写真が載ってました。
2041102hyocyu07
結構長いものなんですね。
そして『横須賀』の文字の下には『市』があるのがわかりました。
(転載許可、大変ありがとうございます)

今回、短い距離ながら、ひとつひとつ丹念に見ていくと
それぞれ味があって面白さを感じました。
いずれは全工程の標柱、制覇したいです。



水道路の標柱(2)

まずはコレ、正面部分が、波線2個の下に「海」の字。
海畑

帝国海軍マークが↓だそうで、そこからとったのでしょう。
海軍マーク
戦争遺跡でもあるわけです。

次はコレ。
黄色水道部
『水道部』。部活みたいです。
現在は横須賀水道局ですが、
今でも水道部という団体名称をとってる所もあるようです。
上面部分に横須賀の頭文字でしょうか、『Y』と彫られています。
大抵後ろは塀などの建築物にくっついてて見えないことが多いのですが
これは背面部も見れました。
そこには『横須賀』という文字が。
黄色水道部裏
てっぺんが黄色いペンキなのは、当局が目印のために塗ったのか
ガキンチョが悪戯で塗ったのか、どちらなんでしょう。


そして『水道局』。
水道局JPG

局なのか部なのかわかりにくい奴
mizu
字体を見比べればわかるかな?
真ん中のハート葉っぱがラブリー。

あとは埋まりまくってテッペンしか見えないもの
umari派手

一度に三個集まってるのもありました。
ゴミの日だったのでゴミ出しされてます。
3ko

二個並んでて、しかも両方とも『横須賀』文字入りの
豪華な奴
水道2個裏

道端のオブジェと化してる波線。
野仏のようです

境いの目印。
境界石
一帯は藤沢市なのに、道路部分の地所は、
海軍から無償で貰いうけた、横須賀市水道局の
ものなんですね。

(もうちょっとつづきます)

水道路(すいどうみち)の謎(1)

妹のお友達のブログで、藤沢にある横須賀水道路のことを
知りました。
今まで知らずに通っていた身近な生活道路に、こんな由来が
あったなんて、興味深い。

あそこを「水道路」と呼ぶ習慣があるのはなんとなく
知ってました。
でも、きょうにいたるまでその意味を深く考えたことは
なかったです。

1912年(明治45年)から、旧横須賀帝国海軍は、
艦隊の水不足を解消するため、
水源である神奈川県愛甲町から横須賀までの
延々53kmにも及ぶ長い海軍水道を、10年かけて
先駆けて敷設しました。
水道路(すいどうみち)の大半が、最短距離の直線です。
ナスカの地上絵のように、異様にまっすぐに北西から南東へ、
藤沢市内を斜めに横切っているのが
地図からわかるかと思います(青色に塗った道)。
suidoumiti2

関係者以外は入れない、いすゞ自動車の工場内の水道路。
いすずの道
まるで滑走路のような、整備された広くてまっすぐな道は
巨木なポプラ(?)並木になっている。
工場の門が開いてると、中をチラっと見渡せるのだが
北海道大学のポプラ並木(250m)もぶっ飛ぶ雄大さ。
軽く1kmはありそう。
帝国海軍と関係の深かったいすゞが、昭和36年この地に工場を開所するも
水道管の上に建物を建てるわけにもいかず、
このような景観になったと思われます。
常時工場内のお掃除バイトを募集してるので
一度は潜りこんでみたいもの。

 これらあまりにまっすぐな敷設ぶりを見るにつけ、
現在のような住民反対運動もなく、
当時憲兵の威圧する中で強制的に軍が土地を取り上げたことが伺われます。
 一方で、元々昔からあった真っ直ぐな道に沿って、
水道路を敷設したのではないかという考えもあるようです。(詳細)

 どちらにしろこのまっすぐな潔さは人の心を惹きつけます。
『鉄塔武蔵野線』ではありませんが、思わずどこまでも辿ってみたく
なる引力がある。場所によっては、海軍が目印として埋めた
80年前の標柱が、道の傍らに点々と置かれているのもかなりな魅力です。
 今回はこの青く塗った道で目にした、(といっても全行程の7割、
真ん中赤紫部分は、道路拡張工事のせいかほとんど
見当たりませんでした)水道路である証拠の標柱の
バリエーションを紹介します。
suidoumiti1

地図のURL



(つづく)

2007年8月27日月曜日

木鼻

baku
(神奈川県藤沢市遊行寺の木鼻。
正面が獅子鼻で側面が獏鼻)

近所の寺社巡りが楽しいきょうこのごろ。
お賽銭箱の上を見上げると、
色々凝った木彫りの霊獣たちに出会えます。

myouzenBaku
(妙善寺の獏鼻)

白旗獏鼻
(白旗神社の獏鼻)

縦柱と横柱がぶつかったとこ。そこを木鼻といい、
獅子や龍、獏、象等の飾りを彫ります。
これらはまぎれもなく日本版ガーゴイル。
中でも獏を彫った獏鼻が気になる。

(感応院ミニ社の象鼻)

夢を食べる架空の動物・獏。
最初鼻がニュっと長いので象かと思いました。
似てますが、よく調べてみると、耳が大きく、
下に垂れてるのが象。
獏は耳が小さく、ピンとして、
獅子のように毛束がカールしてます。

永勝寺象鼻
これは永勝寺の獅子鼻と象鼻。
獏と違って耳が垂れてるのがわかりますか?
象鼻ばっかり見てて気づかなかったのですが。
帰ってきて写真を眺めて改めて、ここのお寺の獅子鼻の
怪奇度が高いことに気づきました。
怖ひ。。

2007年8月23日木曜日

慈眼寺

山門
近所のお寺へお散歩。
藤ヶ丘中学の先をちょっと行った所にある、
慈眼寺というお寺です。
ご近所なのに、高い階段と塀のせいか、
今まで訪れたことはありませんでした。
初めて行ってみてビックリ!
山門の柱が、ど迫力な龍の透かし彫りだったのです。
UP
うーん、マニエリスム。
境内には大きな釣鐘もあって、
その取っ手にも双頭のドラゴンが。
釣鐘の取っ手
他にも樹齢300年の混生樹という、
のたくった怪奇な大木もありました。

灯台もと暗し。

2007年8月16日木曜日

怪物庭園ちっくなブツ

アーティスティックな怪物庭園写真はコチラに。
You Tubeでも『Bomarozo』で検索すると
家庭用ビデオの旅行映像がいくつか引っかかる。

その他、怪物庭園ちっくなブツをみっつほど。

ダリの有名な画『聖アントワーヌの誘惑 』。
これはあきらかに『怪物庭園』の彫刻群がモチーフ。
La tentation de Saint Antoine
それと、PCゲームで一部で人気を誇る『OBLIVION』
これはゲーム中の一画面で、ミノタウロスの巨大な彫刻が森の中にあるという
シチュエーションだが、苔むしかたが『怪物庭園』ちっく。
ミノタウロス2
あと随分昔のりんたろうのカルトアニメ『迷宮物語』。

の中の「ラビリンス*ラビリントス」で、女の子が吸い込まれる石像の顔は、『怪物庭園』の地獄の首だ。

2007年8月11日土曜日

怪物庭園 その伍

ドラゴンまで戻って上に行くと地獄の首がある
The Ogre or Orc(L'ORCO)
人食い鬼だと言われている
巨大な人間の首。
しかめ面を見せている
人間の首のまわりに、
茨や潅木は蓬々と
生い茂り、まるで
この顔の芝居じみた
恐ろしい髯のようになっている。
その口は、何でも呑みこんでやるぞ
と言わんばかりの大きさで、
あんぐり開かれているので、諸君はちょっと
頭を低くするだけで、怖ろしい歯のあいだを
くぐり抜けて、その中へ入ることもできるほどである。
口のなかは、ちょうど舌のあるべき場所に、
自然の岩を彫り刻んだ一脚のテーブルと腰掛があり、
諸君はそこに腰をおろして休むこともできる。
」*1

地面から首だけ突き出して、絶叫している
怖ろしい地獄の魔王の顔のようである。
この顔の口は、直径二メートルを越えるから、
優に人間が立って通れるだけの大きさを有し、
一種のグロッタになっている顔の内部には、
石を刻んだテーブル(同時に舌に見立ててある)が
備え付けてある。グロッタの内部で笑い声でも立てれば、
その声は大きく反響して、口から外へ飛び出し、
あたかも地獄の魔王が哄笑しているようにも
聞こえたことであろう
」*2

平べったい鼻、空っぽの丸い目、
はっきりしない弓なりの眉、大きな開いた口からなる
巨大な頭。岩の内部を洞窟のごとく抉り抜き、
その巨大な岩を、俄か隠者の部屋に変える。
唇の周りにはダンテに示唆された碑文がある。

汝ら、中に入る者よ、すべての思いを置いてゆくべし
 」*3

眠れるニンフの所まで戻り、左にいくと
大股びらきの人魚・怪物エキドナとハーピーがいる

Echidna(L'Echidna)

鱗のはえた二本の脚を百八十度にひらいて、
いわゆる『大股びらき』の姿勢で地面にすわった、
両手の欠けたタナグラ人形のような、
愛らしい顔のニンフがいる
」*2

そこを上に行くとオルシニ家の紋章をかたどった熊がいる

The Bear (ORSETTI ARALDICI)
熊は後脚で立ち上がり、胸のところに
紋章の花を捧げ持っている。
古い葡萄酒の色をした石で彫られたこれらの動物は、
オルシニ家の家名をもじった紋章なのである。
」*1

入り口まで戻って、右に行かずずっとまっすぐ行くと神殿がある

The temple(TEMPIETTO)
樹の根がはびこって、石材は離れ、
下から持ち上げられている。蓬々と茂った雑草や
イラクサや茨が、その割れ目に食いこんでいる。
建物の基礎は緑のなかに埋まり、美しい柱廊は
難破船のマストのように、天に向かって傾いている。
」*1

その下には地獄の門番、ケルベロスがいる

Cerberes (CERBERO)
岩の上に据えられた、伝説によれば
地獄の門を守っているという、非常に長い首の
先に頭の三つある、一匹の犬が見える。
三つの頭は、大蜥蜴もしくは有史以前の
爬虫類のようでもあり、警報のサイレンの
三つの口をも連想させる。
」*1

入り口まで戻って、左へ行くと怪物の首がある

The Proteus(PROTEO)

額にオルシーニの盾の縞で飾られた
球がのっている恐ろしい怪物は私自身の象徴、
一族の栄光の紋章の重みを支える奇形の
象徴であった。上方に、私は要塞を、
ボマルツォの要塞を型どらせた。
オルシーニ家とボマルツォが私を
抑圧していたが、私は母なる大地に
ほぼ沈み込み、怯えながらも両者に堪えていた。
 」*3

以上で、庭園散歩はおしまい。
長々とおつきあい感謝。

photo Author: stelosa
文中青文字は*1『ボマルツォの怪物』から
紫文字は*2『ヨーロッパの乳房』から
群青文字は*3『ボマルツォ公の回想』からの引用

2007年8月10日金曜日

怪物庭園 その四

ドラゴンの隣に象がいる

The Elephant(L'ELEFANTE)
背中に四角い石材の『城』を
のせた象。
その長い鼻を一人の兵士の身体に
ぐるぐる巻きつけている。もう一人の兵士は、
象の頭の上にのっている。
古代の戦争のためのように、象の身体は美々しく
飾り立てられており、その大きな耳には、
楯の紋地のような模様がついている。
」*1

実物大の東洋風の象が、
その鼻でローマの兵士の身体をぐるぐる巻き、
窒息させようとしている。
」*2

肩で城を支える厚皮動物の頭で
奴隷が笑っている。
 」*3
ムヒカによると、象の頭に載っているのは、
アフリカの黒人で象使いのアブール。
賢い象の名前はハンノーネ。
アブールは公爵の忠実な従者であったが、
同じく従者であるベッポーを、狩りのどさくさに
まぎれて、公爵の意向を汲んで殺害し、
行方をくらました。ベッポーは、象の鼻によって
窒息死させられているローマ兵士に
かたどられている。

象の奥に鉢植え巨女がいる

Ceres(CERERE)
竜舌蘭の植木鉢を厳かに頭の上にのせた、
ボードレールの『巨大な女』もかくや
とばかりの彫像である。
巨大なニンフは一個の岩にもたれているが、
この岩にも彫刻が施されていて、そこには、まるで
巨大なニンフが食いちらかした彼女の恋人や
女友達の残骸でもあるような、人間の形らしき
ものの姿が認められる。
」*1

頭の上に竜舌蘭の茂った水盤を
のせた、巨大な女が岩にもたれ、
脚を投げ出してすわっている、
その異様に太い脚は先端が欠けている。
この巨女のうしろへまわると、巨女のもたれている
岩のかげでは、下半身が魚で、肩に蝶のような翼を
はやした二匹の人魚が、1人の少年をさかさまにして、
両手で左右から抱え込んでいるのだ。
これはどう眺めても、倒錯的なエロティックな行為を
表現しているとしか思われず、
私たちを唖然とさせるに十分な構図である。
」*2

ネンツィアは豊満な裸体のニンフであった、
そのあまりの大きさに職人たちは
彼女の乳房によじ登り、まるで山に登るかの
ようにして、その頭の上で輝く鉢まで
上っていったがその鉢からは一本の木が
伸びている、そうすることで私はネンツィアが
その広大な影、私の童貞を奪ったメディチ家の
宮殿と同じくらい広く思える影で
私を包み込んでいたことを示したかったのである。
そして、父の憎しみの証拠である
恐ろしい骸骨は三角の台座の片蓋柱に
その頭蓋骨、脛骨で表されたが、私が
的となっていた兄弟の迫害は、女巨人の底に
隠した二人の人物、つまり一人の少年の逞しい姿を
うつぶせに抑えつけている翼のある人物たちの中に
仄めかされている。
 」*3

鉢植え巨大女の背面に彫られた奇怪な彫刻とは
         ↓





















(つづく)

2007年8月9日木曜日

怪物庭園 その参

ニンフたちの浮彫りのところまで戻ってそこを上に行くと
眠れる巨大なニンフがいる

The sleeping Nymph(LA NUDA ABBANDONATA)
ほとんど無傷のまま残っているニンフの像で、
苔や地衣類に身体中を覆われ、目に見えない男に
襲われたかのように、あられもない姿でぐったり
横たわっている。このような孤独の場所は、
法悦の状態にある聖女にこそふさわしいものなのに、
この彫像はおそらく、地上の逸楽の表現なのである。
」*1

さらに上にに行くと巨大なネプチューンがいる

Neptune(PLUTONE)
獣のような、顎鬚の生えた老人は、
河の神もしくはネプチューンであろうか、
腰まで地面に呑みこまれた姿を示している。
」*1

一番背の高い岩は巨大なネプチューンに
変わったが、長い鬚と肩や胸に垂れる髪の波は海の、
無限の大洋の、永遠の、不死の、私が初めて目を開いた
ときに生れた偉大なる夢の力強い象徴、不死への象徴であった。
 」*3


そのそばに闘うドラゴンがいる

The Dragon(IL DRAGO)
紋章の印のある翼の生えた一匹の
神話的なドラゴンが、執念深く彼を追いかけまわす
牡獅子と牝獅子を向うにまわして、猛烈な死闘を演じている。
」*1

一頭の龍と二匹の犬の戦いは
私の戦いの際の行動を
石にはっきりと刻みこんだ
ものである。
龍はカール五世であり、二匹のブルドッグは
メッスとピカルディーにおける私の戦いである。
 」*3

photo Author:Fotero

2007年8月8日水曜日

怪物庭園 その弐

さらに奥へ行くと亀、鯨の頭、ペガサスがある
地図上の中央一番下をクリックすると
亀と鯨の写真が開く。

The turtle(LA TARTARUGA)
巨大な亀である。亀の甲羅の上には奇妙な台座があり、
台座の上には一個の球があり、さらに球の上には、
危なかしく平均をとっているニンフ、あるいは「噂」の女神がいる。女神はその手で、トランペットを吹く
身振りをしている。今ではトランペットはなくなっているが、導管の跡をしらべてみると、かつてはトランペットが
ちゃんと存在していて、水力学の応用により、音楽を奏する仕掛けになっていたらしい。たぶん、それは天上的な音楽か、
さもなければ恐怖の音楽だったにちがいない。
」*1

背中に人像柱をのせて這いつくばった亀」*2

The whale(ORCA)
亀の近くには、数え切れないほど多くの歯を逆立てて、ばっくり開いた口の形に彫られた、大きな一個の岩がある。
この一種の大穴、あるいは仔牛のための罠を、羊飼いたちは「鯨」と称している。
この「海の怪物」は、やはりどこか猥褻な感じがする。
」*1

巨大な口をぱっくりあいた、鯨のような海の怪獣がいる」*2

アストロフォが実際は鯨である島に孤立した風景を思いださせる
島だと思っていたら実は鯨の頭だったという幻想譚に
アブールとともに冒険した夢想を形にしたもの
 」*3

ペガサスは地図上では亀と鯨の間に見える。
9人のニンフがペガサスを支えてると
マンディアルグは書いているが
どうもニンフに見える画像は見当たらなかった。

The pegasus(PEGASO)
かなり破損している一匹のペガサスが、
たぶん九人のミューズたちの山である、小さな人工の山の上に
立っている
」。*1

手脚の欠けた天馬があり」*2

そこからさらに奥へいくと石の壁に沿って
ニンフたちの浮彫りや仰向けの小さ目のトリトンの彫刻がある。
渋澤が両性具有のニンフと書いているのは
もしかしたらトリトンのことかもしれない。

The Ninfeo(NINFEO)
洞窟のなかには、しばしば淫猥な形の彫刻が
彫られているものもある
」*1

小高い丘の下になっているこのあたりは、
かつて水が流れていたらしく、斜面の石の壁に沿って
グロッタがいくつかあり、グロッタのへきがんの
なかには、摩滅したニンフの像もある。
仰向けに寝た、みだらな姿のニンフもある。
よく見ると、これも乳房と男根のあるヘルマフロディトゥスの
浮彫りがある。
」*2

そこをさらに右奥へ行くと傾いた家がある

The Hanging House(LA CASA PENDENTE)
わざと傾けて建てられた家」*1

この二階建ての家は、
いかなる気まぐれによるのか、
設計者がわざと傾けて建てたものと
おぼしい。
これ以上傾ければ崩壊するという、
ぎりぎりの角度で四百年間、
立ちつづけているのである
」*2

photo Author:schon (つづく)

2007年8月7日火曜日

怪物庭園 その壱

まずは園内の地図を手にいれる。
コチラ。これはクリッカブルマップになっていて
写真画像とリンクしている。マウスを近づけると
イタリア語の名前が表示されるので
文中迷ったらそれを目安に進む。

まず地図左下の石のアーチから入る。
アーチをくぐると正面に、一対のスフィンクス。
地図上をクリックするとスフィンクスの写真が開く。

Sphinx (LE SFINGI)
うずくまったスフィンクスの像がある。
スフィンクスの頭は、太陽の象徴のようであり、
私には『戦艦ポチョムキン』のなかの気難しい
狂信的なギリシア正教の司祭を思い出させた。
」*1

門をはいってすぐのところに、スフィンクスの
像が二つあり、左右対称に向き合っているが、
そのうちの右側のほうは、かなり破損していて
見るべくもない。
 」*2

スフィンクス像は彼女の記念に捧げられたものであった。
アドリアーナは私にとってスフィンクスのような存在であり、
ときにやさしく、大胆でさえあったし、逆に私の
従者(ベッポー)とじっ懇になって私のプライドを
傷つけたときのように、薄情で、ときには不実でさえあった。
 」*3

スフィンクス像には朱色の文字で碑文が記されている

眉を張り
唇を結ぶ
そんな面持ちで
この地を通らねば
名だたる世界の七不思議も
その味わいを薄めよう 

ここに入る者 心を配れ
一つ一つに
そして 後で答えてくれ
この幾多の驚異は
まやかしゆえか
芸術ゆえか 。
 」*3

そこから右へ進むと残虐なヘラクレスがいる

Hercules slaughters Cacus(LOTTA DI GIGANTI)

樹々に包み隠されて、
身の丈八メートルないし
九メートルに及ぶ、
一人の巨人が立っているのだ。
この恐るべき巨人は、
たぶんヘラクレスであろう。
彼は、彼と同じくらいの
背丈のある、一人の若い人間を
逆さまにひっくり返し、
その両足をつかんで、その股を
左右に大きくひろげ、
そのまま二つに引き裂こうと
している最中なのである。
このヘラクレスの顔は、極度の沈鬱な美しさを
示しているのである。純粋に残酷なその獣的本能に
よって、ヘラクレスの身振りは、見る者に目を閉じる
ことを要求する。
」*1

人間の高さの四倍以上はあろう、その巨大な
ヘラクレスは、闘う相手をさかさまに倒し、相手の両脚を
力いっぱい両手で左右に引き裂こうとしているのである。
ヘラクレスの表情は沈鬱で美しい。
」*2

弟マエルバーレの死は一方が他方を切り刻んでいる爪二つのタイタンたちの戦いを通して表現されている 」*3
(ヘラクレスが公爵で、股裂かれているのが公爵の弟)

ヘラクレスそばの碑文には以下の文字がある。

もしロードスが自らの巨像を誇るなら
我が森も人の誇りとなるに相応しい
故に全力を投じるのだ 我が森に
 」*3

photo Author:Fotero
文中青文字は*1『ボマルツォの怪物』から
紫文字は*2『ヨーロッパの乳房』から
群青文字は*3『ボマルツォ公の回想』からの引用


(つづく)

怪物庭園 その零

イタリアのボマルツォ(bomarzo)という所に
「怪物庭園」という名の公園がある。
広い敷地の中に、数百年前に作られた巨大な石像たちが
破損した状態で苔むし、蔦に埋まっている。
世界遺産などという高級な物件ではない。しかし

もの凄く行ってみたい。

でもイタリアは遠い。
のでネット内で画像を辿ってバーチャル観光となった。
実際、コチラに観光して詳細なレポートを掲げてくだすってる
貴重なサイトがある。日本語サイトということもあって
舐めるように読みました。
羨ましい。

そもそも怪物庭園を知ったのは
*2渋澤龍彦著『ヨーロッパの乳房』
(立風書房 1973年)であった。
心くすぐる渋澤先生の記述は堪能したが
写真はわずかに三枚。
実物はどないなっとんねん、と画像への渇望激しく。
その後渋澤訳で、シュールレアリスト・マンディアルグ著の
ずばり*1『ボマルツォの怪物』(河出文庫 1999年)
という本の存在も知った。
(さらに*3『ボマルツォ公の回想』(集英社ラテンアメリカの文学6)
という本もある。どこまで史実に基づいてるかわからないが
著者のムヒカ・ライネス氏が想像した、庭園の主である
傴僂の貴公子ピエル・オルシーニ公爵のお話で、
庭園に言及している所もあるので、
創作物語とはいえ、そこからも適時引用したい。)


という訳で、
マンディ&渋澤と行く怪物庭園の旅
はじまりはじまり
文中青文字は『ボマルツォの怪物』から
紫文字は『ヨーロッパの乳房』から
群青文字は『ボマルツォ公の回想』から
の引用で
画像は、主に非営利で改変しないなら
掲載可の条件でflickrから引いている。
借り物だらけである。

Very thanks,Foteroschon,zak_mc,cdaros
,niceguysean & stelosa.

伊東忠太に逢いに

クニタチへ行ってきました。
オペラグラスも持参です。
目指すは一橋大学国立キャンパス。
遠いぜ、国立。

 夏休み平日午前の構内は
ひとけも少なくピーカン天気で絶好の撮影日和。
守衛さんに建物見学希望の旨を伝えると
中には入らないでねと注意を受ける。
くーっ、在学生が羨ましいぞ。

時計塔の憧れのガーゴイルは予想以上に大きかった。
眠そうな目で人間どもを睥睨している。
33

反対に予想以上に小さかったのがドード鳥。
21

緑に透ける本格的ガーゴイルも味わい深い
65

時計塔上部の鳳凰vs獅子。肉眼では判別しずらいが精巧な造り。
 35

口から水を出す正統的ガーゴイルもちゃんといて
行ったときは水吐いてて嬉しかった。
27

池の端にたたずむ、ガーゴの哲学的憂い顔。
58

緑濃い構内に潜む可憐な(毒?)キノコ
62

一覧表を作ってガーゴイルの種類を数えてみる。
list001
quu カウントだと28種類です。

ガーゴイル好きにはパラダイスな場所でした。
汗ダラダラで楽しんできました。

アルバムはコチラです。
一覧左上「兼松講堂」をクリックすると54枚表示が始まるので
右端の→または、小さく二つ表示されてる右側写真をクリックして
右へ右へと進んでご覧ください。

2007年8月2日木曜日

メタルフィギュア

gargoyle-figure
昨今の食玩フィギュアの隆盛は凄まじく
一時のブームを通り越して、すっかりジャパニーズ
カルチャーとして定着進化した感があります。
そういった食玩フィギュアの由来を思うと、
欧米のボードゲームに使われた、古い歴史を持つ
メタルフィギュアにいきつきます。

そんなアメリカのメタルフィギュアの老舗メーカーのひとつ
「Reaper Miniatures」社 の物を代理購入してくれるのが
幻想屋『Dream Cloud』さん。

画像は、商品ページのうち
WarLordの No.14009 Crypt Bat 1 です。
ん、コウモリ?
いやいや、ガーゴイルということにしておきます。
細部まで細かく刻まれた錫製で、高さ4cmほど。
830円でした。
これに実際ペイントするのが本当なんでしょうが
このままでも迫力ある造形で惚れ惚れします。

中空の夢魔

中空の夢魔
ガーゴイルの本はないかなー
と探した一冊。
JICC出版局『中空の夢魔』
写真f-ストップ・フィッツジェラルド
スティーブン・キングが巻頭に
文章を飾った、豪華な写真本です。
カラーとモノクロで、アメリカの
ガーゴイルが迫力ある写真で
収められてました。
中空の夢魔2

ガーゴイルのドアチャイム

わたしがあんまりガーゴガーゴとうるさいので
妹が元々あった玄関のドアチャイムを
ガーゴイル仕様に改造してくれました。
kotori
こんなふうな小鳥さんのところを、粘土で被せて
ガーゴイルチャイムに仕立ててくれたのです。
最近の粘土は色々進化してるらしく
乾くと大理石風になったりするものもあるみたい。
これはパッと見、石造風の仕上がりで
めちゃ気に入ってます。
ドアチャイム
おかげで我が家の玄関ドアはこのように
door

不気味度500%アップとなりました。

ガーデン倶楽部(終)

023b4fc4-s
ガーゴイルの画像を色々載せてきましたが、
一番凄かったのが、ガーゴではなく
このカエル。
何気なくすみっこに置いてあったのだけど
一瞬ギョっとしました。
ボッシュの絵に出てきそうな愛嬌あるグロさ。
正体は、ありがちな親子ガエルの
下部分が欠けてしまったものなんですが。

他にも、プラスティックみたいな軽い素材の
ヒョウキンなガーゴイルが何体かいました。

422a7865-s
2d443fa5-s