2007年12月1日土曜日

元箱根で磨崖仏を愛でる

磨崖仏(まがいぶつ)とは、そそり立つ岩壁に刻まれた
仏像のこと。
磨崖仏の「磨」を「魔」と書き間違える人が573人ほどいるが
崖を磨くのが正しい日本語なのです。

日本一大きい磨崖仏は31.05mの千葉の
鋸山日本寺の大仏である。
同じく鋸山にはもう一体の磨崖仏、百尺観音もいる。
こちらは一種異様な谷あいに彫られているせいか
霧が出たりすると、顔のあたりが煙って見えなくなって
しまうほどで、印象的には百尺観音の方が大きく感じる。
しかし30.30mと日本一には75cm及ばず。
ということは、この鋸山は磨崖仏界のナンバーワンのみならず
多分ツーすらも揃っている無駄に豪華なスポット
ということになる。
他にも五百羅漢や地獄覗きなど、見所一杯の鋸山。
三浦センセも勝手に観光協会で観光してました。

鋸山話でつい熱くなってしまった。
本題に入る。日本一ではないが、箱根にも磨崖仏がいる。
しかも重文もの。日本各地の磨崖仏のうち、
国の重要文化財指定を受けてるものは5つあるが、
そのおすみつきをもらった5つのうちの貴重な1つだ。

場所はこの辺
詳しい案内はコチラ

5年の調査、整備を経て、平成十年から一般公開
されているよう。

まずは記念館にて歴史的背景をお勉強。
ガイダンス
「かつて箱根は地獄だった」
というキャッチーなコピーとともに
ちょっとしたお化け屋敷な雰囲気。
子供は高確率で泣く雰囲気。

賽の河原で石を積んでる子供たちを、
鬼が蹴散らす映像。
ガイダンス賽の河原の子を蹴散らす鬼

突然、ブラックライトにあやしく浮かびあがる釈迦の壁画。
ガイダンス壁に浮かぶ釈迦

トイレの婦人マーク、紳士マークも独創的で微笑ましい。
トイレ女
トイレ男
あと十年ぐらいかけて自然な年月の重みがプラスされ
寂寥感がグレードアップすれば確実に「ちょっとキッチュな
変スポット」に成長しそうな予感。
今の所は如何せんまだキレイすぎて、なんの感想も
持てない記念館でした。

地下道をくぐっていざ磨崖仏 俗称六道地蔵へ。
六道地蔵1
高さ9.2メートルと、かなり大きなお堂の中を覗くと
奥にお堂いっぱいに大きめな磨崖仏が鎮座。
奥行きが深くて、照明が無いせいかお顔がよく見えず
同行した母上には不評であった。

そこから北へ少しいくと
磨崖仏 俗称二十五菩薩 がある。
国道1号線をはさんで、東側に3体。
1体は判別できたものの、残り2体は不明。
磨崖仏3

そこから期待感を煽るような地下道をくぐって
地下通路

西側に23体。
ここはなかなかに異相。
来てよかった感がぐっと高まり重文の底力を見た。
磨崖仏1
168-6833_IMG

そこから精進池方向へ戻ると
宝篋印塔 俗称多田満仲の墓があり、
宝当1
宝塔2

逆にもっと北へ行くと
五輪塔 俗称曽我兄弟・虎御前の墓もある。

正直、磨崖仏だけを目的にすると少々残念感が漂う。
他の物見遊山ついでに立ち寄る場所としてならお勧めできる。
磨崖仏フリークには、熱狂的にお勧め。
とりわけ二十五菩薩の全体像としての異形度はかなり高く
ブツマニアなら一見の価値あり。

オマケ
箱根の有料道路、ターンパークからの眺め。
人工物が視界にひとつも無い快感を噛みしめる。
ターンパイク2